木彫り熊界の聖地<遊木民>がまた上野に|【北海道に魅せられた人たち】川口直人さんのおはなし
「わー懐かしい!」
「このカクカクなのも熊なの?」
「鮭咥えてない!」
「北海道に魅せられた人たち」の店頭でよく聞くワードベスト3です。
<遊木民>、いや、木彫り熊という”みんな大好き北海道”のイメージが刷り込まれたものは、人を吸引する力があるのでしょう。
木彫り熊が目に入った人は、吸い寄せられるように<遊木民>ブースに
そして、北海道の思い出に思いを馳せていただいたり、今人気の作家さんの熊を見て驚かれたり……。
なにせ、札幌の熊の木彫り専門店(しかも3代も続く!)ですから、色々な熊がいて、いろいろな楽しみができるのです。
そして、<遊木民>は、今ホットな木彫り熊業界の中で「知らない人はいない」と言えるほどの有名店。
初日には、店長・川口直人さんと新しい熊に会いに、人だかりができます。
その人気っぷりを見るのも新しい発見に出会えます。
さて、ここまでで、ちょっとでも木彫り熊に興味を持っていただけた方!!
どうぞ、さらに深い(いや、だいぶ入り口しか紹介できませんが)木彫り熊の世界……まずは<遊木民>を紹介させてください。
<遊木民>と川口直人さん
遊木民の店内はこんな感じ。
デスク横に置いておきたい可愛らしい熊から、何十万円もする人気者の熊まで、多様な熊がごろごろとしています。
その全てに、川口さん親子の細かな解説がつくので、まるで博物館のような気分に。
札幌の木彫り熊の歴史を3代に渡って見てきた〈遊木民〉
〈遊木民〉は、かつて木彫職人や土産物の問屋が立ち並んでいたという桑園にお店を構えています。
60年ほど前から土産物屋で扱う木彫品を卸す会社として、スタート。
今でもその名残で、ストックや店内を探すと、木製の状差し、アイヌ風の彫り物などが見つかります。
そんなお店の店長であり、イベントにも登場していただいているのが川口直人さん。
ご自身も土産物屋へ営業に回っていた川口さんは、木彫品の売れ筋の遍歴も見てきたと言います。
「昭和はご存知の通り木彫りの熊がブームでした。デパートでも”木彫り熊フェア”のようなイベントがあったりして、観光客だけでなく道民からも人気があったようです。平成になると、テレビも薄くなり棚も備え付けになり…と大きな熊たちは居場所がなくなってきました。自分が営業を始めた平成20年ごろは、とにかくフクロウ!今、熊で人気の作家さんもその頃フクロウを彫ってました。そして令和になり、現在再びの熊の木彫りがブームになって、嬉しびっくりです。」
自分の価値観を大切に
高値で売買される人気作家の作品だとしても、自身でその価値を感じる以上は値つけしないのが川口さんのポリシー。
熊の木彫りの栄枯盛衰を感じているからこそ、日々「熊の木彫りの価値とは?どんな熊がいいの?」と考えるそう。
例えば、昭和ブーム期に生産された、いわゆる大量生産熊に対して。
「(上の写真のように)頭方向から見ると、角材を効率よく掘っているということがよくわかります。こういった熊は、価値的には下に見られてしまうことが多いんです。」
確かにリサイクルショップで安価に販売されているところを見たことがあります。
「ただ、ものづくりとしては、これもこれで正解だと思うんですよね。無駄なく作品を作るという意味では、非常に優れている。木材を扱うものとして、こういったものづくりの知恵が詰まったものが、価値のないものとして言われてしまうのはちょっと残念。」
自分でものづくりを行う立場として、生産数と作家としてのこだわりのバランスに悩まれる川口さんだからの疑問なのでしょう。
レジェンド作家の作品も「真似できない宝」とリスペクトする一方で、一般的な価値基準をそのまま受け入れるのではなく、「本当の価値」「手仕事とは」を自分の頭で突き詰めて考えます。
販売だけでなく、作者としても活躍
「彫り手の高齢化によって、熊の木彫り文化が廃れてしまう!」そんな危機感から、川口さんは販売だけでなく熊彫り作家としても活動を始められました。
元々は、熊の木彫りへの興味が高かった訳ではなかったと言いますが、匠の技を日々見ているうちに「これはどう彫るのだろう」と技術への探究心がむくむくと湧いてきたそう。
技術的なところだけでなく、”ヒグマらしさ” も追求。
「ヒグマは頭の上が筋肉質で割れているような頭頂部がトレードマーク。シロクマはもっと細長い感じなんですよね。筋肉のつき方や骨の作りをきちんと理解して表現したい気持ちがあります。今欲しいものは、熊の骨格標本です(笑)」
今や、イベントの店頭で川口さんに「私も彫っていて……」とアドバイスを聞きにくる方もちらほらといらっしゃいます!
そんな川口さんの作品もイベントでは展示販売しています。
お楽しみに!!
\北海道に魅せられた人/
川口直人さん
札幌市出身。札幌の名店〈遊木民〉店長。作業台やお店の内装まで「木でつくることなら大体できる」とのこと。北海道の好きな所は、「広いところ」。実は、熊だけではなく猫も好き。
「北海道に魅せられた人たち」
会期:1月25日(水)→1月31日(火)
場所:松坂屋上野店 本館1階北口イベントスペース
独自の歴史・自然・風土をもつ「北海道」。
そんな北海道に魅せられた、ものづくりの人々の作品をご紹介するイベント「北海道に魅せられた人たち」の開催まで、作り手の方々を紹介しながらカウントダウンしていく連載ブログです。
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